【あの頃イタリアで その32 お調子者画伯は私を誘う】

投稿者 :佐々木英理子 on

こんにちは!突然寒くなりましたね。私はようやく展示会の荷物一式(ダンボール箱大×4個)を発送し終え、遅くなってしまったブログを書いているところです。明後日はいよいよ会場のセッティング!そこから怒涛のrooms三日間を駆け抜けます!

 

さて、お待たせしました。遅ればせながら”その32”の始まり始まり~

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楽しかったシチリア一人旅が終わり、いよいよ本命であるデザインスクールが開校する。

あれから無事に良美さんと暮らすミラノのアパートメントに戻り、寝台列車のシスターのことや(その22参照)、ウスティカとヌッチョのことを(その26参照)ひとしきり話して聞かせた。

ワイン片手にケラケラ笑いながら聞いていた良美さんだが、最後に一言、

「結局あなたはシチリアに行ったんじゃなくて、ウスティカに行ったのね。シチリア一人旅じゃなくて、ウスティカ一人旅よ!」・・・はい、ごもっとも。

ミラノに戻ってから一週間後の1024日、インテリアデザイン学科の教師陣と生徒たちとの顔合わせを兼ねた説明会が行われることになっていた。夕方5時集合というのだから随分とのんびりしたものである。

約一ヵ月振りの登校日。お調子者のギリシャ人、ミハイル(その20参照)を除いては全員初対面と言うこともあり、やや緊張気味に家を出た・・・はずだったが、久しぶりに乗るトラムの時間を間違えてしまった!遅刻だ~!

幸いにも教室の出入り口は後方にあったので、身をかがめてそ~っと中に入り、どこに座ろうかと辺りを見回すと、こちらに気付いたミハイルが隣に座れと手招きをする。語学講座での印象があまり良くなかったので気が進まなかったが、今はそんなことを言っている余裕はない。招かれるままに隣に着席した。

「エリコ~!会いたかったよ~!久しぶり!聞いたよ、たった一人でシチリアに行ってたんだって?!お前凄いな!シチリアはどうだった?」

相変わらずのお調子者はテンション高めの小声で囁き続ける。遅れて来た私が言うのもなんだが、教壇で話している先生の説明が全く聞こえない。

「分かった分かった!これが終わったら話すから!」と言ったときだった。

「後ろ!静かにしてください!」・・クラス中から突き刺さる視線。

渾身の眼力でミハイルを睨む。お前のせいだからな~!

お調子者は流石に静かになった。それどころか今度は一生懸命メモを取っているように見える。・・・ん?違う。せっせと漫画を描いている。まったくこいつは~!しばし放置し、聞いても良く分からない説明に耳を傾けていると、いきなり横から目の前にズズズーっとノートがスライドして来た。ミハイルがニヤニヤ顔でそれを見ろと目で促す。

彼のいたずら書は人様にお見せできないものがほとんど(下ネタ多数)これは唯一公開可。ミハイル画伯-その1

 

嫌々ながらノートに目を落とす。・・・あ、今教壇に立っている先生の似顔絵!しかもそっくり!不覚にも静かに噴き出す。それに気を良くしたミハイルは、ノートを引き戻し、また何か書き込んでいる。そしてまた無言で私に見せながら斜め前の男の子を指差す。・・・そっくり!完全に悪意のある特徴を盛り込んだ彼独特の画風。なぜ人は笑ってはいけない場でこんなにも笑いたくなるのか・・堪えるのがやっとだ!

次に差し出されたノートに、今度は私が斜め前の女の子の似顔絵を描いてみた。我ながら似ている!・・・が、それがいけなかった。その似顔絵を見るなりミハイルは堪え切れなくなり、小声でクック!クック!と笑い出したのだ!

「し~ず~か~に!!」・・二度目の注意が飛んでくる。我に返って前を向くと、イタリアの著名な建築家、ルカ・スカケッティーが教壇から首を伸ばしてこちらを睨んでいるではないか!

「今年の新入生は実に元気だね~。」とルカは笑わずに言った。

 ミハイル画伯-その2 なぜかスキューバダイビングの装備をしながらカヌーで激流を下る私

説明会終了後、まんまとミハイルのお調子に乗ってしまった私は、自己嫌悪と後悔でべっこりと凹み、ミハイルの“話を聞かせて聞かせて”攻撃を鋭くかわし、そそくさと家に帰ったのであった。

なぜ、こんなミハイルとお互い親友と呼べるまでになったのか・・。今の私ならわかる。それは結局、似た者同士だったからに他ならない(笑)

 

つづく・・・

※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

 

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