【あの頃イタリアで その34 お隣にお住まいのトラム様】

投稿者 :佐々木英理子 on

今日の関東は絶好の行楽日和でしたね!皆さん秋を満喫できましたか?ブドウ狩りとか?栗拾いとか?・・あ、すみません、私が食べたいものばかりで(笑)

 

さ~てあの頃の私はまたまた引っ越しするの巻~

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それは突然のことであった。

「あのね、実は・・このアパートを引き払わなければならなくなったの。」

「え?」

「引っ越しをしなければならないんだけど、あなたも一緒に来る?」

「え?ええ~?!」一緒に来るも何も、それしか選択肢が無いように思える。しかし・・ついこの間だよね?私がここに引っ越して来たの。(その9参照)

シチリア一人旅から帰ってすぐ、良美さんから聞かされた突然の引っ越し計画。詳しい事情は忘れてしまったが、確か家賃が急激に上がってしまったのが理由であったと思う。

とにかくあと一ヵ月以内にここを出なければならないらしい。こりゃ大変だ!

一軒目のアパート↓ ここはここで住みやすかった。

かくして、その週末から緊急新居探しが始まった。私と良美さんは学校と仕事の合間を見つけては朝から日が暮れるまでミラノ中の目ぼしいエリアを歩き回った。“お手頃な物件情報は不動産屋には出ていない”という、良美さんの確信の無い信念により、とにかく自分たちの足で“AFFITTASI(賃貸用)”という看板を掲げている物件をシラミ潰しに当たってみた。ほぼ一日中歩き回るものだから、夕方になるとふくらはぎはバンバンに、両手はむくみ、指が茹で立てのソーセージみたいにパンパンになった。

何件当たって砕けただろうか。ここ絶対にいいよ!と思う物件は99%家賃が高い。それでも探すのを止めないということは、残り1%に賭けているということである。

探し始めて3週間が経ち、希望する家賃の物件は最早ミラノ市内に存在しないのか・・・と諦めかけていたある日のこと。そろそろ日が暮れるからうちに帰ろうかと話していたとき、突如見つけてしまった!教会の広場に面した歴史ある建物(古いとも言う)。

貸出中だという4階を見上げると、なんと!広いテラスが付いているではないか!ここいいんじゃない?!しかも、歩き回っていたので気付かなかったが、そこは私の大好きなポルタ・ジェノバの運河に近い!(前回参照)絶対ここがいい!

お伝えするのを忘れていたが、良美さんは2匹の猫を飼っている。このテラスだったら猫たちも喜ぶに違いない!

だけど絶対に家賃高いよね~と半ば諦めつつも妙な期待に心が躍る。良美さんは緊張の面持ちで、看板に書かれていた連絡先に電話をした。私はその横で固唾を飲んで良美さんの表情を伺っている。

「もしもし・・はい・・はい・・分かりました・・はい・・では明日・・」良美さんの顔が興奮でドンドン赤みを帯びて行く!

「やった~!!日本円で7万円だって!135千円!しかも間取りも希望通り!」

興奮冷めやらぬまま、翌日内覧に訪れた私たちはその安さのどストレートな理由を知る。

予想はしていたが、壁や天井のペンキがかなり剥げ落ちている・・このままの状態ではとてもじゃないけど住めない。そして何よりも気になるのは、カンカンカンと部屋にこだまするその音。窓のすぐ下を走るトラムの音である。しかも線路が側を走っているだけではない。なんと、建物の隣がトラムの車庫なのだ!

むむむ!こ、これは強敵!毎晩、終電トラムが車庫に入れろとカンカン言い、朝は朝で始発トラムが外に出せとカンカン言うってことだよ・・・ね?これは厳しいな・・降参か・・と頭をかすめたその時である

「さ~て、あと一週間で壁と天井を塗り直さないとね!忙しくなるわよ~!」良美さんは私の弱気を払拭するかのような満面の笑みで言う。

「トラムの音なんてすぐに慣れるわよ!」え?そ、そ、そうかな・・・

彼女の眼中にトラムの姿は1㎜も無いのであった。

 

つづく・・・

 

※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

 

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