【あの頃イタリアで その31 さよならウスティカ!絶対にまた来ると誓う!】

【あの頃イタリアで その31 さよならウスティカ!絶対にまた来ると誓う!】

こんにちは。ようやく東京の緊急事態宣言が解除され、先日久し振りに友人2人と念願のザ・居酒屋に行って参りました!モニター越しではない、生の人間てやっぱりいいですね~!(笑)

 

さて、シチリア一人旅シリーズは本日最終回。とうとうウスティカを旅立つ日がやって来てしまいました・・

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シチリア一人旅も終盤に差し掛かったある日の朝、私は行きつけのマリオのバールに居た。バールのマスターであるマリオはヌッチョの従弟である。(狭い島なのだ)

いつものように外のテーブル席でボ~っとしていると、こちらに向かってやって来るヌッチョの姿が見える。ん?どうやら私を手招きしている?だけどまだカプチーノ飲んでる途中だし・・。しばし気付かない振りをしていると、今度は大声で私を呼ぶ。

「エリコ~!エリコ~!早くこっちへ来~い!結婚式だ~!」

ん?!結婚式?!慌てて残りのカプチーノを流し込み、ヌッチョが手招きする方へ小走りで向かってみると・・・

なんと、そこにはいつか見たゴッドファーザーのワンシーンを彷彿させる光景が!

石畳を行進する花嫁と参列者御一行↓

古い石畳の緩い坂道を、父にエスコートされ、教会に向かってゆっくりと進んでくる花嫁。

かっこいい~!ウスティカに来てからボ~っとし過ぎて、久しく忘れていたゴッドファーザー/愛のテーマが脳内を駆け巡る。パパパ パパパパ パパパパパ~♬

教会で式を終えた御一行はそのまま海辺の披露宴会場へ。親族でもなんでもないにも関わらず、ヌッチョが、いいから中に入れと聞かないので、言われるがままに中に入り写真を撮った。

右下の男の子が、完全に「あんたたち誰?」って顔をしています(笑)↓

 

この思いがけない島の結婚式は、ウスティカの最後を飾るにふさわしい良い思い出となった。明日はいよいよ島を離れなければならない。

その日の夜、島での最後の晩餐にとヌッチョが漁師さんから手に入れた新鮮な魚(アコウダイかな?)で、アクアパッツァを作ってくれた。美味しくないわけがない!ワイン片手にご馳走を頬張りながらも、お前は本当に明日帰るのか?と、ヌッチョが何度も聞いて来るので悲しくなる。

できることならもう一週間滞在したいが、ミラノでは待ちに待ったデザインスクールが始まるし、帰らない訳には行かない。絶対にまた来るから!となだめてヌッチョの家を後にした。

慣れた手つきで魚をさばくヌッチョ↓

翌日、朝早いフェリーでウスティカを発つことになっていた。島で仲良くなったスイス人カップルも同じ船に乗り、パレルモで一泊してから帰ると言うので一緒に港に向かう。

その日も自慢のエスプレッソが入った水筒をぶら下げてヌッチョが見送りに来てくれた。港に着くと、みんなにエスプレッソを勧めながら、また私に聞く。本当に帰ってしまうのか?・・と。泣きそうになるのを堪えて船に乗り込もうとしたとき、あれ?と思った。普段手ぶらなヌッチョが小さな荷物を持っている。

そして、「ほんとにほんとに帰るのか~帰っちゃうのか~」と呟きながら、なんと!ヌッチョも一緒に船に乗り込むではないか!(笑)

結局、寂しがり屋のヌッチョは、私とスイス人カップルとの別れを惜しみ、パレルモまで付いて来てしまった。そして本当に最後の夜は、ヌッチョお勧めのレストランでみんなで楽しく食事をし、同じホテルで眠った。

そして翌朝、なんとか踏ん切りがついたヌッチョと笑顔で別れ、私たちはパレルモを後にしたのである。

 

それから一年後、私は日本から旅行に来た妹と弟を連れてウスティカを訪れました。その後も、あるときは一人で、またあるときは母や友人たちと共に、幾度となく訪れたウスティカ(USTICA)

私が島を訪れる度に、いつも元気な笑顔で迎えてくれたヌッチョでしたが、20193月、みんなに惜しまれながら88歳で天国に旅経ちました。結局、私は楽しませてもらってばかりで、何一つお世話になった恩返しができませんでした。

仕事に忙殺され、自分を見失いそうになったとき、自分の実力以上のものを求めて大失敗してしまったとき、ヌッチョは今でも空の上から大きな声でこう言います。

「お前はバ~カか!」

すると、は!と我に返るんですよね。そして何度も当たり前のことに気付くんです。何をどうしたって、私は私だと。(笑)

つづく・・・

 

※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

 

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