【あの頃イタリアで その56 バースデーPARTYで地蔵と化す】

【あの頃イタリアで その56 バースデーPARTYで地蔵と化す】

こんにちは!あっという間に6月になりました。6月といえば私の誕生月。う~む・・この歳(どの歳?)になると誕生日なんて見て見ぬふり!なんて言っていたら、親しい友人に「何言ってるの!この歳(だからどの歳?)まで生きたんだからありがたいと思わないと!」と叱られました(笑)

この時期、誕生日が来るといつも思い出すミラノでの苦い思い出があります。今日はそのお話・・・

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あれは1995年のちょうど今頃、その日の授業が終わり、さて帰ろうかなと思っていた私のもとに当時仲良くしていたアンニュイなミラネーゼ、クラスメートのミレーナがやって来た。ブロンズ色のロングヘアに愛嬌のある小顔が相変わらず可愛い。

「ねえねえ、エリコの誕生日って6月だよね?」

「うん、そうだけど・・」どこで仕入れたのか私の誕生日を知っているようである。

「実はね、私も6月生まれなの!」

「へ~、そうなんだ~」と言いつつ、そっかじゃあミレーナと私はきっかり7歳違うんだなと思う。

「それでね!一緒にバースデーパーティーしない?!」

「へ?一緒に?」なんでまたわざわざ一緒に?・・と思う。

7月初めに誕生日の友達が2人いるから4人で合同パーティーしようよ!」そう言われても私はその2人を知らないし、そもそも “みんなで一緒にパーティー♡” なんて乙女な発想(?)は生まれてこの方持ったことがない。

私は物凄く渋い顔をしていたのだと思う。ミレーナが ” 絶対に絶対に楽しいから、絶対に絶対に一緒にやろう!”  と言って聞かないので、彼女が言う72日に何の予定もなかった私は渋々頷いてしまった。

そして約1か月後の7月2日、バースデーパーティー当日。ミレーナに言われた通り、学校近くの集合場所に行ってみると、ミレーナの彼らしき男性が運転席から顔を出して私に手を振っている。あれ? 車で行くの? しかも彼氏もいっしょなんだ? と思う。そんな私の顔を横目に、ミレーナが不敵な笑みをたたえているのが気になる。

車が向かったのはミラノの中心地から1時間ほど郊外にある大きなピザ屋さん。駐車場に車を停めると、後ろからまた1台、またまた1台、ぞくぞくと車が入って来る。まさかそれが全てパーティーの参加者だったとは・・・この時の私は知らない。

お店の人に案内されたのは日本で言う大広間的会場、その中にテーブルが大きなコの字型に並べられているが、どう見ても50人分以上の椅子が置いてある。呆気に取られている私の腕をミレーナが嬉しそうにグイグイ引っ張り、まさに "お誕生日席" の真ん中に私を座らせる。

そして30分後、ガラリと横一列に並んだその日の主役4人。そしてその両サイドにズラリと並ぶ見知らぬ若者たち。ミレーナが “サプライズ成功!”の如くドヤ顔で、あんぐりと口を開けた私に向かって微笑む。

ミレーナにしてみれば私を喜ばせたい一心だったのだろう。・・・が、これはどう見たって “高校時代の仲良し同窓会に見たこともない異邦人が1人紛れ込んだの図” である。

50人分のピザが運ばれ終わるまで約1時間半。おしゃべり好きなイタリア人が50人集まるとその騒々しさが50倍になるということを知る。そして、次から次へと友人たちが誕生日席の3人にプレゼントを運んで来ては話が弾むも、私のところには誰も来ないし何も運ばれて来ない。そりゃそうだ。この中で知っている人間はミレーナしかいないのだから。唯一ミレーナがくれたリボン付きのフォトアルバムだけがポツンとお供え物のように置かれている。私はお地蔵様か?! 1人でツッコんでみるも虚しさだけが漂う・・・(泣)

イタリア人(特に若者)はとにかく大勢でつるむのが大好きである。今日の夜ちょっと飲みに行こうか?というときでも、10人以上の友人を集めて集団で行動する。大勢の友人がいることがステイタスであるのか、はたまた常にアモーレを求める寂しがり屋なのかは定かではないが、恐らくその両方ではないかと個人的には思う。どちらかと言えば一匹オオカミ的傾向がある私は理解に苦しむし、このときも大いに苦しんだ。

“一刻も早く終わってくれ~!”という切なる願いも虚しく、パーティーは深夜まで続き、“やっと解散!”と思いきや、2次会にまで連行されたが、なにせ帰る手段が無い。結局、地蔵と化して耐え続けること明け方まで。1995年のその日は、ある意味一生忘れられないバースデーになってしまった。 

あんな我慢大会みたいなバースデーパーティーをするくらいなら、私は1人で焼き鳥屋に行く! いや、むしろ行きたい! と、毎年この時期思うのであります。(注:焼き鳥屋さんにはいつもお世話になっております。)

 

つづく・・・

 

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