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【あの頃イタリアで その38 あの素晴らしい日々をもう一度】

投稿者 :佐々木英理子 on

こんにちは。師走の足音が背後からひたひたと駆け寄って来る中、皆さんどんな土曜日をお過ごしでしょうか?そろそろ年賀状書かねば・・いや待て、その前にクリスマスカード!と思いきや今年は忘年会もある・・と言った感じでしょうか(笑)

さて、今日の”あの頃”はちょっと変わったワインのお話、イタリアと言えばやっぱりワインですよね~

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私が学校の課題と課外授業の作業に追われ、寝不足な毎日を送っていた頃、同居人の良美さんも仕事に追われ、忙しい日々を過ごしていた。

私が夜中の2時過ぎに作業を終えて眠りにつき、朝方トイレに起きると良美さんがまだ製図版に向かっているということも珍しくなかった。

そんな状況であってもたまの休みには二人でテラスの鉢植えの植物を探しに遠くの植木屋さんまで散歩したり、良美さんの友人が所有するコモ湖畔の別荘に遊びに行ったりと、忙しいながらも充実した毎日を送っていた。

そんな私たちの最大の共通点はワインが(=お酒を飲むのが)大好きなことであった。二人でダイニングテーブルに付いているときは必ずワイングラスを握っていたと言っても過言ではない。約二年間の同居生活で飲んだワインの量は果たしてどれくらいになるのだろうか。考えただけで恐ろしい。(注:アル中ではありません)

とある週一回の空き瓶回収の日、二人でせっせとワインの空き瓶を運んでいると、隣に住む世話好きパッラディーニおばさん” が近寄って来てこう言った。

「あらまあ!パーティーだったのね!楽しかった?」・・・いえ、二人で飲んだんです・・・とは言えず、私たちは日本人らしく笑ってごまかした。しかもおばさんは私のことを子供だと思っていたらしくこう続けた。

「お手伝いして偉いね~!」・・・・これまた引き攣り笑いでやり過ごし、私たちはそそくさと部屋に戻ったのである。まさかその“子供”がたらふくワインを飲んでいるとは夢にも思うまい。

このときから遡ること数カ月、1994年の冬、そんな二人の元に夢のような出来事が舞い込んで来た。良美さんの友人であるイタリア人夫婦がワインの樽を預かってくれと言うのである。

私たちが住んでいるマンションはかなりの年代物であったため、地下に各部屋ごとに割り当てられた地下室がある。恐らく冷蔵庫が一般的でない時代に食料保管庫として使用されていたものと思われるが、今はその必要も無く、暗くて湿っぽい地下室はあまり使われている様子が無かった。

友人夫婦はどこでどうそれを知ったのか、そこにワイン農家から買い取った赤ワインと白ワインの大きな樽を一つずつ預かってくれと言うのである。そしてなんと、置いてもらう代わりに“好きな時に好きなだけ飲んでいいから“とおっしゃるではないか!なんて良いお方!・・・もちろん彼らは私たちが摂取する酒量を知らない。

即、翌日、私と良美さんはほくほく顔で空いていたワインの瓶を洗って乾かし、一人二本ずつの空き瓶を手に、いそいそと地下室に向かった。こぼれないように瓶の口を注ぎ口に密着させ、樽のコックを捻るとドクドクと流れ出る “飲み放題“ のワイン!これを幸せと呼ばずして何と呼ぶ?!

それからというもの、数日おきに空き瓶を抱えて地下室に通い続ける酒飲み2人。肝心の持ち主は週に一回だけ小さな樽を抱えてやって来るだけ。これはもうどう考えても私たちの方が多く飲んでしまっているに違いない。

「ねえねえ、こんなに飲んだらマズいよね・・」と私。

「大丈夫よ~!好きだけ飲んでって言ってるんだから。」と良美さん。

イタリア人はそんなにも肝要なのだろうか?いや、いくら何でも限度があるよね~・・。

と思い始めた頃、ワイン樽は底を突いてしまったらしい。“らしい”と言うのは、私がその場に居合わせたわけではなく、持ち主がワインを入れている最中に予想外に早いタイミングで底を突いてしまったらしいのである。それと共に私と良美さんの夢のような時は終わりを告げた。

そして良美さんの友人は二度と私たちに“ワイン樽を預かってくれ”と言うことはなかった。・・・そりゃそうだ。

 

つづく・・・

 ※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。
 

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