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【あの頃イタリアで その70 ベスパは友情の架け橋か?】

投稿者 :佐々木英理子 on

こんにちは。あっという間に年末ですね。年賀状書きましたか~?大掃除しましたか~?・・すみません。今私が言われて嫌な2大フレーズを並べてみました(笑)と言いつつも、今年は早々に無理をしないことに決めました。できないものはできない。明日できることは明日やれ。イタリア人万歳!(あれ?去年もおんなじこと言ったような・・・)

さて、今回は前回の口ゲンカのその後です。

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マルコと子供のようなケンカ別れをしてから数日後、何度目かのチームミーティングの朝が来た。今度こそ絶対文句は言わせまいと、昨夜は遅くまで根を詰めて作業をしていたせいか、今朝は格別に眠い。

思い身体を引きずりながら身支度をしていると、キッチンにあるFAX機能付きの電話が鳴った。数秒後、キッチンにいた良美さんが私を呼ぶ。

「お~い!マルコから電話だよ~!」

え?・・・マルコ?・・・この間の捨て台詞では飽き足らず、まだ言いたいことがあるのか?といぶかし気に受話器を取る。

「はい・・もしもし~

「お~!エリコ、おはよ!」

「あ・・おはよ~

「あのさ、オレ、今日はスクーターで学校行くから後ろに乗っけてってやるよ!」

「へ?!」

8時半頃、外でクラクション鳴らすから降りて来いよ!じゃーな!」

「・・・・。」なんだ?今の?

受話器を握ったまま、しばし立ち尽くす。“確か・・・私たちケンカしてたよね???” 寝ぼけているので頭が上手く回らない。

しばらくたってようやく理解した。マルコはマルコなりに、あの日の帰り道、私に八つ当たりしたことを反省しているのである。その罪滅ぼしに学校までスクーターに乗せてやると言っているに違いない・・と。

そう思うと一気に肩の力が抜けた。と同時にじんわりと笑いが込み上げてくる。マルコはいつだってホントに分かりやすいやつなのである。こうなるとマルコの捨て台詞に負けじと憎まれ口を返した自分が一段と情けない。

「なんかいいことあったの?」と様子を伺っていた良美さんが言う。私もかなり分かりやすい人間のようだ。

そして約束の8時半、イタリア人にしては珍しく時間通りに窓の外でクラクションが鳴った。見下ろすとマルコが上を見上げて手を振っている。

「行ってきま~す!」筒状の図面ケースを背中に斜めに掛けて玄関を出た。

「ちゃんとヘルメット被るのよ~!」背後から“ほぼほぼ保護者”の良美さんの声が聞こえる。

玄関を出てすぐ右手の路肩でマルコがスクーターにまたがったまま待っていた。数日前にケンカをした手前、お互いちょっとぎこちない・・・と思ったのもつかの間、私の目はそのスクーターにくぎ付けになってしまった。

「うわ!このスクーター、もしかしてベスパだよね?!ローマの休日でオードリーヘップバーンが乗ってたやつだよね?!」一気にテンション急上昇!

「ああそうだよ。色は違うけどね。お父さんに買ってもらったんだ。」箱入りマルコは何だって買ってもらえるのである。

マルコに手渡されたハーフヘルメットのベルトを締め、後ろのシートにまたがる。

「さー行くぞ!ちゃんとつかまってろよ!」どこかで聞いたことがあるセリフと同時にベスパが石畳の上を走りだし、どんどん加速して行く。いつもトラムの窓から眺めるミラノの街の景色が、猛スピードで後ろに飛び去って行く。

「うわ~!!最高~!!気持ちいい~!!」もうこの時点でケンカしたことなどすっかり吹っ飛んでしまっている私であった。

 

つづく・・・。

※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

 

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