【あの頃イタリアで その71 卒業設計からの逃避行〜リグーリアの旅①】

投稿者 :佐々木英理子 on

明けましておめでとうございます。本年もマイペースでがんばる・・いや、がんばり過ぎず、ぼちぼちとやっていきますので、あの頃のイタリアブログをどうぞよろしくお願いいたします!

 

さて、今日は卒業設計からの束の間の脱出。リグーリアの海辺の町に小旅行に出かけますよ!まずは前回の続きから・・・

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「これで運転してるのがマルコじゃなかったら最高なんだけどな~!」信号待ちの合間に後部シートから憎まれ口を叩くも、今日のマルコはベスパのバックミラー越しに寛大に笑っている。

ここで余談ですが・・

ここまで書くと読者の中には「とかなんとか言って実はマルコと付き合ってるんじゃないの~?」と思う方もいらっしゃるかと思うので、念のため解説します。

マルコにはエマというとても可愛い彼女がいるのです。日本のとある大企業のミラノ支社で働くエマとは何度も一緒に遊んだことがあるのですが、とても気さくで理知的で、ここだけの話、マルコには勿体ないほどの素敵な女性です(笑)この数年後、マルコの妻となってしまうのですけどね。

さて話を戻します。

その日の卒業設計チームミーティングは、ようやく実のあるものとなった。恐らく、私とマルコが意地になってプランを練り直したのが功を奏したのだと思われる。(自画自賛)

その日の放課後、帰り支度をしていると、久しぶりにマルコの幼馴染、自転車大好き少年オスカルがマルコを訪ねてやって来た。(その41参照)エメラルドブルーの切長な瞳、自転車乗りのくせに色白でほっそりした外見は、いつ見ても私より女っぽい。

オスカルが専攻しているインダストリアルデザイン科と、私たちの建築デザイン科は教室が離れているので、どちらかがわざわざ会いに行かない限り、普段構内で会うことは滅多にない。

「久しぶり!元気か?」

「ぼちぼちね〜。」

デスクに腰掛けながらたわいない会話をしていると、今度はお調子者ミハイルがぶらぶらと教室に入って来た。

そろそろみんなが卒業設計漬け”の日々にうんざりしている時期である。オスカルもミハイルも「なんかおもしろいことない?ない?遊んで遊んで!」と子犬の如く顔のド真ん中に書いてある。

そこでフリスビーを投げるのはやっぱりマルコだ。

「よ~し!じゃあ、気晴らしに4人で旅行しないか?一泊二日でさ。サンタマルゲリータにあるうちの別荘、いや、別荘と言っても2LDKのマンションなんだけど、そこに泊まって、翌日ポルトフィーノに行くっつ~のはどうだ?」

やはり箱入りマルコは何でも持っているのだ。

「行く行く~!」瞬時に全員一致。

それにしても、なんの躊躇もなく当然の如く私をメンバーに入れるあたり、“こいつらはホントに私を女だと思っていないのだな”と確信しつつ “だから一緒にいて楽しいんだな”と妙に納得するに至る。

「なにで行く?まさか自転車じゃないよね?」と私。

「自転車で行ける距離じゃないよ。大丈夫、オレのアコード出すから。」出た!天下の宝刀!パパに買ってもらったホンダのアコード!だけどそんなことはどうでも良い。私たちにしてみれば至れり尽くせり。マルコぼっちゃま様様である。

そうと決まれば話は早い。私たちは三日後の金曜日、午後の授業が終わってからミラノを出発することに決めた。

サンタ・マルゲリータ・リグレは地図で見るとミラノのほぼ真下に位置するリグーリア州の海辺のリゾート地である。その隣にあるポルトフィーノは高級リゾート地として各国の著名人が訪れることで有名だ。

ミラノからマルコの愛車を走らせること約3時間。マンションの裏手にある駐車場に車を止めた。今日はもう遅いので、部屋に荷物を置いてすぐに晩ご飯を探しに町へ出ることにする。

「さ〜!出かけるか〜!」と、そのときである。

「では全員から200,000リラ(当時の日本円で約13,000円)ずつ回収しま~す!」マルコが小さなポーチを広げている。マルコ曰く、いちいちワリカンにするのが面倒なので、全員から均等にお金を集めて共有の財布を作り、そこから全て支払うというのである。

「さすがマルコ!あったまいい!」と、その時は思ったのだが、このことが要因で私は後に肥満街道をひた走ることになるのである。

 

つづく・・・

※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

 

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