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【あの頃イタリアで その72 イタリアで太ったのには訳がある〜リグーリアの旅②】

投稿者 :佐々木英理子 on

こんにちは!先日、近所の幼稚園の園庭で梅の花が咲いているのを見かけました。まだまだ寒いですがそれでも1日1日、日が長くなり、春が近づいて来ているのが嬉しい今日この頃です。

さて、では前回の続き。舞台はマルコの別荘があるサンタマルゲリータです。

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サンタマルゲリータに到着したその夜は、マンションの近くで見つけたアットホームなトラットリア(イタリアの食堂)でパスタやらなにやらをお腹いっぱい食べた。残念ながら、メニューは忘れてしまったが、とにかく4人とも無口になってしまうほど満腹になった。

「さ~て、じゃあ帰ってシャワーして寝るか!」マルコはウェイターにお会計を告げ、カバンから例の共有財布を取り出して支払いをしている。・・・そのときである。その様子をボーっと見ていた私は、ふと思ってしまった・・・“え?これって不公平じゃない?”

マルコとミハイル、オスカル。この3人の大男たちはどう見ても私の倍は食べた。それなのに4人でワリカンなんて、どう考えたって私だけ不公平じゃん!

そしてそう思うと同時に、3人と同じ量を食べることができないことが悔しくてならなくなった。今まで男同然に対等に付き合って来たのに、「私、みんなみたいにたくさん食べられないから・・」と言うのがどうにもこうにも悔しくて言葉にできず、結局その日はそのままワリカンに同意するしかなかった。

その夜、順番にシャワーを浴びた私たちはリビングのソファを取り合うようにしてギュウギュウに詰め合ってテレビを見ていた。私は高校の時に寮生活をしていたことがあるのだが、大きなテレビが置いてあるが故、寮生たちがたむろしていた談話室を思い出す。

「カモミールティー飲むやついるか~?」健康志向のミハイルがキッチンに向かう。

「あ、オレにもちょうだい!」「オレにも~!」とマルコとオスカル。

え?ちょっと待って!こんなに楽しい夜だというのに誰もお酒飲まないの?! 愕然とする私。

「エリコはいらない?」・・・無論私にはカモミールティーを飲む習慣などない。

「ワイン飲むからいらな~い!」と返す。

「はあ?オマエいつの間にワイン買ったの?」

「・・・いや・・・え~と、家から持ってきた。」私の(かなり偏った)常識の中では、こんな夜はどんちゃん騒ぎと決まっていたので、予めミラノのスーパーで買って来たのだ。

「ほんとオマエは酒好きだな!あんまり飲むと体に悪いぞ!」と言うのはいつもマルコだ。

「ほんとつまんない奴ら!」とぶつくさ言いながら一人赤ワインの栓を抜き、どくどくとグラスに注ぐ。カモミールティーの湯気越しに刺さる3人の冷ややかな視線。だけどそんなの気にしない。

時計の針が夜中の2時を回った頃、ようやく私たちはマルコが割り振った部屋の各自のベッドで眠りに着いた。2LDKのマンションなので寝室は2部屋しかなく、マルコとオスカルが同部屋、私とミハイルが同部屋だ。

翌朝、私たちはマルコが入れてくれたエスプレッソを手に、眠い目を擦りながらまたゾロゾロとリビングに集まった。

昨夜はヤケになって一人でボトルを空けたので、少し頭がボーっとしている。焦点不明な目つきでエスプレッソをすすっていると、それを見ていたミハイルが突如笑い出した。

「クックックック!」

「なに?」

「オレさ、女と二人で同じ部屋で寝て、何にもしなかったのって人生初かも!」突如私が女だということを思い出したらしい。いい迷惑である。

朝食はコルネット(クロワッサン)が美味しいと評判の、マルコお薦めのバールへ。季節は3月。外のテーブル席は上着を着ていてもまだ少し寒いが、柔らかな太陽の日差しが心地良い。朝食に甘いものを食べるイタリア人らしく、カウンターのガラスケースの中には、粉砂糖を振って積み上げられたたくさんのコルネット。中身は生クリーム、チョコクリーム、カスタードクリーム、マーマレード、イチゴジャム、杏子ジャムから選ぶことができる。まずは全員、マルコ一押しのカスタードクリームのコルネットとカプチーノに決定。

これが想像以上に美味しい!月並みな食レポだが、外はカリっと焼き上がっていて、中はもっちり、そこに濃厚なカスタードクリームがこれでもかと詰め込まれている。全員即座に2個目をオーダーする。

それもペロリとたいらげ、4人とも3個目、4個目を追加したところでオーダーストップ。朝食なのにどう考えても食べ過ぎである。

「結構いっちゃったな~」支払いをするマルコを横目に、満面の笑みをたたえる私は、えも言われぬ満足感に浸っていた。“やった!みんなと同じ量をたいらげた!” 

ここからである。私が太り出したのは。

それからというもの、私は大食いの男たちと一緒にガンガン、モリモリ同じ量を食べた。

その結果、とうの昔に縦方向の成長を完了していた私の体は、ひたすら横方向に成長することになる。・・が、このときの私はそんなことなど想像だにせず、ただただひたすら大男並みに食べ続けたのである。(ほんとバカです。笑)

 つづく・・・

 

※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

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