【あの頃イタリアで その78 女であるが故、悩むのである】

【あの頃イタリアで その78 女であるが故、悩むのである】

こんにちは。連休最終日は雨ですね。多くの人出で舞い上がった砂埃もようやく落ち着き、明日の朝は空気が澄んでいるのでは?と、窓の外を眺めながらぼんやり考えています。

さて、前回の続き。突如決まったスタンドバイミー的卒業旅行は一筋縄ではいかないようです・・・

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卒業旅行計画が発表された翌日の土曜。私たち4人は早速マルコの車で郊外の大型ホームセンターへテントと寝袋を物色しに出掛けた。まだ2カ月以上先のことではあるが、私たちの意識は既に卒論を軽く飛び越え、新緑きらめくトスカーナの地にあった。

しかしそんな中、私は一人、ある問題を抱えて悶々と悩んでいたのである。

卒業式は628日。計画ではその翌日にマルコの車に自転車を積んでミラノを出発することになっていたのだが、問題はこの日程にあった。なぜなら、順調にいけばかなりの確率で、月に一度の女性のイベント(?)”生理”と重なってしまうのである。

今回はその辺に旅行に出かけるのとは訳が違う。一日中汗だくになって自転車を漕ぐのだ。その上テントときた。思い通りにトイレに行けないだろうし、毎日シャワーするなんて端から期待できない。そんな状況下で生理になったら・・・想像すらしたくない。これはもう、なんとしてでも避けねばならない。

とはいえこの2年間、私を女扱いなどせずに(して欲しいとも思わないが)対等に付き合ってきたメンバーに、女性特有の事情について相談するのはかなりの抵抗があった。

“あ~~どうしよ~~”と悩むこと1週間。悩んだところでどうにもならないと腹をくくった私は、企画隊長のマルコに相談してみることにしたのである。

「あのさ~、旅行の日程だけど・・・ちょっとばかりズラしてもらうことはできないかな・・・」

「え?なんで?」とキョトンと音が聞こえるくらい純粋不思議顔のマルコ。

“よし!勇気をだして訳を話そう!”と思ったそのとき、私はようやく気付いた。“生理”というイタリア語を知らないことに!

それでも何とか説明しようと試みる。

「あ~~え~とね~・・・その日はね~、え~と・・・」

「え?なになになに?」益々不思議顔のマルコ。

「え~とね~・・・だからその日は・・・」え~い!こうなったらやけくそだ!

「え~とその日はね!月に一回、血がいっぱい出る日なの!・・・そう!血が山盛り出るスペシャルな日なんだ!」今思い出してもその雑な説明に我ながら呆れかえる。

「・・・・・。」どんぐり目玉をグリグリさせながらしばし固まるマルコ。そして私が女であることをゆ~っくり思い出したらしい。

「・・・あ~~!そういうことか!」

「うん!うん!そういうこと!」

「そっかそっか!じゃあしょうがないな!了解!みんなに相談してみるよ!」

「うん!うん!よろしく!」

マルコは女兄弟がいないのに察しが早い。他のメンバーにも話して日程を送らせてくれるとのことなので一安心。”これでやっとみんなと一緒に心の底から楽しめる!”・・・と、この時は思っていた。

数日後、このことが原因で4人の友情に亀裂が入るほどの大問題が勃発することになるとは・・・。

つづく・・・。

 

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