google-site-verification=ZSVZx6rhMycxY93zzBpKm4M211dke9DmJlUO482qXS0

【あの頃イタリアで その77 スタンドバイミー的卒業旅行の全貌】

投稿者 :佐々木英理子 on

こんにちは。関東は夏日が続いていたので、気温が下がった今日は少し寒く感じます。寒暖差が激しい季節は体調を崩しやすいですよね。皆さん風邪引いてませんか?・・・て問いかけている私が風邪を引いているという(笑)しかも4年ぶりに。鼻水が止まりませ~ん。

さて、今日はいよいよ企画隊長マルコが卒業旅行計画の全貌を明らかにしますよ!

----------------------------------

ミラノに来て2度目のミラノサローネが終わり、世界中のビジネスマン&ウーマンが帰国すると街は何事もなかったかのように日常を取り戻した。

前回、“1996年の4月はとにかく忙しかった”と書いた。されどここはイタリア。どんなに忙しくても週末にはきっちりしっかり遊んでいたのである。

 

良美さんの友人が所有するコモ湖畔の別荘に泊まりに行ったり、いつものメンバー(箱入りマルコ、お調子者ミハイル、色白チャリンコ少年オスカル)と映画を観に行ったり、自転車で遠乗りしたり。

特にこの時期は自転車のベストシーズンなので、ミラノから北17km行ったところにあるF1の聖地モンツァや、ゴルゴンゾーラ発祥の地、その名もゴルゴンゾーラを始め、ミラノから日帰りで行けるところへとにかく良く自転車を漕いだ。

週末の予定が決まるまでのだいたいの流れはこうだ。金曜日の放課後、私とマルコが作業をしている教室に、離れた教室で作業をしているはずのミハイルとオスカルが示し合わせたかのようにぶらぶらとやって来る。いつも通りそのおでこには“遊ぼ~よ~”と、もはや刻印の如く押してある。(その71参照)そこで企画隊長マルコが週末の行先を提案するのである。その提案はほぼ100%覆されることはない。

この日の午後も、教室にはいつものメンバーが集まっていた。“さ~て、今週末は何して遊ぶ~?”と全員が思っていたであろうその時、企画隊長マルコが悪だくみをしているいたずらっ子のようなまん丸い目を見開いてこう切り出した。

「あのさ、今日はみんなに大事な提案があるんだ!」むむ?マルコの鼻息がいつもより荒いことに気付いたその他3人が一気に前のめりになる。

「あのさ・・・6月の卒業式が終わったら、みんなで卒業旅行をしないか?!」

あ!この間私に話してたっけ!(その74参照)寝耳に水のミハイルとオスカルがにわかにザワめき立つ。

「おーー!いいじゃん!行こうよ!行こう!」とお調子者ミハイル。

「で、どこか行く当てはあるのか?」と冷静沈着なオスカル。

「へへへへ・・・」ニヤニヤしながらますますどんぐり黒目玉になったマルコが私たちの顔をゆっくり見渡しながら、溜めに溜めてとうとうその全貌を明らかにした。

「では・・・発表します!・・・行先は・・・トスカーナ!!」

「おお!!」とその他3人がどよめく。その反応に気を良くしたマルコが、更に全員に目配せをしながら続ける。

「ただの旅行じゃないぞ!自転車で旅するんだ!自転車にテントを積んでトスカーナの小さな町や村を転々と周るんだよ!しかも!旅行期間は10日間だ!」(なぜマルコが10日間としたのかは未だに謎である。)

「・・・・・・・。」一同しばし沈黙。

 “と!と!10日間も自転車に乗りっぱなし?!し、し、しかもテント?!” 間違いなくその他3人の頭の中ではそんな思いがグルグル高速回転していた。

そんなことはお構いなしに、鼻息荒いどんぐり黒目玉人間と化したマルコは身振り手振りで更に話しを続ける。

「いいか、オレが考えた作戦はこうだ。まずはオレの車(パパに買ってもらった愛車のホンダ・アコード)に自転車を積んで、トスカーナのとある小さな村まで行く。そこの空き地に車を停めて、荷物を自転車に積んでスタートするんだ!行く先々で公園やキャンプ場を探してテントを張ることにしよう!初夏のトスカーナはきっと最高だぞ!みんなで素晴らしい景色の中を自転車で疾走するんだ!もちろん美味しいものだってたくさんある!オレたちの一生の思い出になること間違いなしだ!!」

一息にまくし立てるマルコのプレゼンに吸い込まれ、なんだか急にワクワクして来るその他3人。そして次の瞬間、マルコの興奮が一気に半径2メートルに波及した!

「よし!決まり!!みんなで行こ~!!」

「だったらまずテント買わなきゃ!寝袋も!」

「食料は持ってく?!雨ガッパは?!水筒はいるよね?!」

単純めでたい精神構造のその他3人はもはやマルコ以上に大興奮である。

こうして、スタンドバイミー的波乱万丈型卒業旅行の幕は切って落とされた。

それと同時に、この仲間と一緒にいられる時間のカウントダウンが始まったことに、この時の私は気付いていなかったのである。

 

つづく・・・。

※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

 

【この次を読む】

【この前を読む】

【その1から読む】

『にほんブログ村』で読む

 

 

 

 


この投稿をシェアする



← 投稿順 新着順 →


2件のコメント

  • tamarさん、いつもイタリアブログをお読みいただきありがとうございます!
    初めてコメントをいただいたので確認するのが遅くなってしまいました(汗)すみません!
    不思議なことに、ブログを書いているときは脳みそが完全にあの頃にタイムスリップしてしまうので、自分でも臨場感を味わいながら書いているんですよ(笑)
    いつか楽しいイタリアに行ってみてくださいね!これからもどうぞよろしくお願いいたします!

    筆者 on
  • 佐々木さん、Buongiorno!
    いつも楽しく拝見しています。
    佐々木さんの語るミハイルもマルコもヌッチョもなんだかとても生き生きしていて、そしてご飯が美味しそうで、イタリアって良いなあ…と羨ましくなってしまいます。
    初夏のトスカーナなんて、最高でしょうね。読んでるだけでワクワクしてしまいます笑
    これからも楽しみにしています。

    tamar on

コメントを残す

コメントは承認され次第、表示されます。