こんにちは。急に寒くなりましたね。風邪引いてないですか?
この寒さで、一旦回復していた私の寒暖差アレルギーがまたまた発症。今日は朝から喉の調子が良くないです。これから益々寒くなるようなので、あったかくして過ごしましょうね!
さて今日のあの頃は・・・いよいよシエナまであと一歩のところまで来ました!
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古城で迎えるトスカーナの夜明け・・・と書くと物凄くかっこいいが、正しくは、古城がある公園に張ったテントで迎える5日目の朝(笑)
私とマルコとオスカルは早起きをして、この旅最大の目的地である古都シエナを目指して出発した。もう迷子になるわけがない。だって目の前にあるのは獣道ではなく、確実にシエナに向かうと太鼓判を押された”ちゃんとした道”(地図に記載がある道路)なのだから。(その88参照)
旅が始まってから今日までずっと天気に恵まれていたのだが、この日の午後は珍しく、どこからともなく湧いて来たぶ厚い雲が空を覆っていた。
※ ↓ 通りすがりの牧場(?)と牧羊犬らしき犬
そうこうしているうちにこの旅初めての雨が降り出してきたのだが、辺りに雨宿りをする場所は見当たらないし、例えあったとしても一刻も早くシエナに到着したい私たちにとっては、そんな時間さえ惜しい。
それでもかなり雨脚が強くなってきたところで先頭を行くマルコが自転車を止めた。
「ちょっとストップ、ストーップ!こりゃ~カッパ着た方がいいな!」とマルコが言う。
「そうしよ!そうしよ!」とオスカル
二人はさっさと荷台に下げたバックからカッパを取り出そうとしている。その様子に愕然として立ち尽くす私・・・
「ちょっとー!なんで?なんで二人ともカッパ持ってるの?!カッパは荷物になるから持って行くのやめようって言ったよね?!」
※ イメージ
遡ること約一カ月。三人で旅の持ち物を確認し合っていたときのことだ。
「カッパ、持って行った方がいいよね?」と尋ねた私に、
「荷物になるし、この時期はめったに雨なんか降らないからいらないよ!」と隊長マルコがきっぱりと言ってのけたのである。
なのにだ。なぜか私だけカッパを持っていない。
「オスカルだっていらないって言ってたよね?なのになんで二人ともカッパ持ってるの?私には“いらない”って言ったくせに!」
※イメージ UnsplashのVitolda Kleinが撮影した写真
私は大きな子供と化し、いじけにいじけた。この旅始まって以来の険悪な雰囲気がトスカーナの大地に漂う・・・
「・・・いいよ。じゃあこれやるよ。」
困り果てたマルコは渋々自分のカッパを私に差し出した。
それでもまだ納得がいかない私は仏頂面でカッパを受け取り、ありがとうも言わず無言のままブカブカのカッパに袖を通した。
我ながら”あの頃の私”はどうしようもなく子供だ(苦笑)
幸いなことにその雨は通り雨だったようで、その後すぐに止んでくれたが、結局マルコ一人がずぶ濡れになったのである。(マルコごめんよ~!)
※イメージ UnsplashのJoshua J. Cottenが撮影した写真
そのまま自転車を漕ぎ続けること数時間。さっきの雨が嘘のように綺麗な夕日がトスカーナの緑を包み込む中、なんとかシエナ郊外のキャンプ場に辿り着くことができた。
ここはマルコが予め予約しておいてくれた場所で、シャワーはもちろん、プールまである大きなキャンプ場だ。おまけにシエナまでは自転車で約30分の好立地。
ここに二泊してゆっくりシエナを観光すると言うのだから、私とオスカルの顔が自然にほころぶ。ゆっくりシエナ観光ができるのはもちろん嬉しいが、何よりも今日明日の寝場所の心配をしないで済む。嬉し過ぎてカッパの恨みなんか瞬時に吹っ飛んでしまった!・・・単純なのである。
寝床は相変わらずテントの中だが、シャワーの後にプールサイドの椅子に腰かけ、彼方に広がる雄大な景色を眺めていると、少しだけ優雅な気分に浸ることができた。
※ ↓ キャンプ場のプール
もうじき日が暮れる。明日のシエナ観光に備えて今日はぐっすり眠ることにしよう。
”トスカーナの宝石シエナ”はもう目と鼻の先なのだ!待ってろよ~!シエナ~~!!
つづく・・・
※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。