【続報その4 あの頃イタリアで】30年ぶりの再会

【続報その4 あの頃イタリアで】30年ぶりの再会

「いたたた~!!そこ痛いかも!」

ここは台湾、桃園空港。日本を発ってから約5時間後。足裏マッサージの最中である。

え?なんでまだ台湾に?・・・はい、実は・・・成田発、台北乗換えミラノ行き、往復13万円という破格のチケットに目が眩んでしまったが故、桃園空港で6時間半過ごさねばならなくなったのである。

9月2日 14:25 成田発

 同日 17:05 台湾/桃園空港着

 同日 23:45 台湾/桃園空港発

9月3日   7:35   ミラノ/マルペンサ着

時差を計算すると到着までの所要時間は約24時間。長過ぎる。節約のためとはいえ、どうしてこんなチケットを買ってしまったのか・・・。興奮しすぎて頭がどうかしていたに違いない。私の脳みそはすぐにどうにかなってしまうのだ。

おまけに、まだ再会前だというのに、私は既にミハイルを怒らせてしまっていた。ミハイルが私の到着に合わせてアテネからミラノまでの航空券を予約するというので到着日時を伝えたのだが、なんと、その日付を1日間違えてしまった。

「9月2日の午前7:35に到着するよ~」と伝えてしまったのである。

そのことに気づいたのは出発1週間前のこと・・・

「ごめん!間違えてた!そっちに着くの9月3日だった。」

「はあ?!信じられない!!おまえに合わせてチケット取ったんだぞー!もう変更できないよー!まったく!休みが1週間しか取れないっつ~のに~!!」

「ごめん!ほんとにほんとにごめん!」

「・・・大丈夫だよ。問題ないよ。」と、マルコは優しい。

やってしまった・・・。これがシチリアのじいさんに“マンマルッカ(まぬけ)”と呼ばれる所以である。("SHOPについて"参照)

おかげでマルコは2日連続、別荘から空港まで片道2時間かけてマイカーを走らせるはめに。そしてミハイルとマルコはおじさん2人だけの空白の一日を過ごすことになったのである。(合掌)

 

9月とはいえまだまだ夏真っ盛りであったので、桃園空港に着いてからすぐに施設内の無料シャワー室に入った。その流れで人生初の足つぼマッサージも体験した。そうきたら次はもちろんビールである。“”トランジットって結構楽しめるではないか!“と、ぐびぐびビールを飲んでいたら、あっという間に出発時刻がやってきた。

ほろ酔い気分のまま飛行機に乗り込むと、出発時間が深夜だったということもあり、そのまま爆睡。台北を発ってからはなんの感慨にふける間もなく、長い長い、狭い狭い時間が経過。ようやく飛行機が着陸体制に入ったときには、“やっと二人に会える!”というよりも、“長かった~!早く降りたい!”という感情が先走った。

預け荷物がレーンに姿を現すまでの間に“Whatsupp”(LINEのようなもの)でマルコとミハイルに到着の報告をする。

「OK!オレたち途中で朝メシ食べて行くから、エリコもどっかでコーヒーでも飲みながら待っててくれ」

そりゃそうだ。現在時刻はAM8時。一日遅れで到着した上、早朝に2時間かけて迎えに来させるという由々しき事態。はい、なんぼでも待ちます。

 久しぶりのイタリアの気配を感じながら、到着ロビーで30分ほど時間を潰しただろうか。

“そろそろ来る頃かな?”と思った途端、急に緊張してきた。半年前からメールでやり取りをしているので、もうすっかり30年前の感覚に戻ったつもりでいたが、実際に会うのとは話が違う。

メールでの会話の内容は昔と全く変わらないアホな内容でも、目の前に現れるのは未来からタイムスリップしてきたかのように経年変化した二人・・・あ、忘れてた。それを迎える私も遠い未来からやって来たかのような変わりようである。されど今は2026年。実に不思議な感覚に陥る・・・が、平たく言えば、頭の中だけ30年前ということか(笑)

どこから、どの方向からやってくるのかも知れず、冷静を装いつつも視線はキョロキョロと落ち着かない。と、その時・・・

”あ?!” ジッと通路の奥に目を凝らす。

あ~!!ティーシャツに短パン姿のぽっちゃりおじさんが満面の笑みで近づいて来る。

来た!あれだ!!形状はやや変わっているが、その笑顔はほぼ変わっていない。間違いない!ミハイルだ~!!

「ミハイル~~!!」大きく手を振る。ミハイルは早足になった。

「チャ~オ~!エリコ~~!!元気だったか?!!」

「チャオチャオ!ミハイル!!」

ガッチリと抱き合う。どこからどう見てもロマンチックな抱擁ではない。むしろ戦場から帰還した兵士同士のそれである。

しっかりと抱き合った後、ミハイルは肩に両手をかけたまま私をグイっと後ろに押しやり、ジッーっと顔を見る。私もマジマジとミハイルの顔を見る。その間約2秒。

「ウ~ハハハハ~!!」

「ウ~ヘヘヘヘ~!!」

突然笑いが込み上げてきた。なぜだか二人とも笑いが止まらない。

「とにかく話は後だ!マルコが路上駐車したまま車で待ってるから、まずマルコのとこまで行こう!」

ミハイルは笑いながら左手でグイっとスーツケースを奪い、右手で私の肩を抱えて歩き出した。私も左手をミハイルの胴に回している。身長差もあるし、ものすごく歩きにくいが、とにかくそうしているのが自然だった。

道すがら、ミハイルはまるで大きな犬のように、数歩行くと私の顔を覗き込む。そして二人で爆笑する。また数歩行くと私の顔を覗き込む。「ハ~!ハハハ~!!」また大笑いだ。一向に前に進まない。

何度かそうしているうちに、なんだか少し泣けてきた。ミハイルの眼にも涙が滲む。それでも笑うものだから、最後は二人とも泣き笑いみたいになってしまった。

 

「ほら!マルコはあそこだ!」

坊主頭でひときわ長身のイタリア人がダークグレーのジープの傍らで大きく手を振っているのが見える。

「マルコ~!!」

「チャオ!エリコ!チャ~オ~!よく来たな~!!」

またガッチリと抱き合う。そしてお互いの顔を確認する。やっぱりまた大笑いだ。

マルコは笑いながら私のスーツケースを掴むとそのまま車の後ろに積み込む。

「オマエの荷物、なんでこんなに重いんだよ!」また笑う。

「エリコ、おまえは小さいから後ろな!」マルコがスーツケースの横のベンチシートを指さす。

ミハイルは当然のように助手席に乗り込む。相変わらずレディーファーストなど存在しないらしい。そもそもレディーとは思われていないのだからしょうがない(笑)

「え~!なんで後ろなのよ~!」それでもブツクサ言いながら乗り込む。

 

ハンドルを握りながら、マルコが昔と同じまんまるい目をして私とミハイルを交互に見る。

「準備はいいか、ストロンツィ(くそったれども)!さあ出発だ!!」

「イエ~~イ!!」

急発進をしながらハンドルを切るものだから激しく前のめりになり、とっさにミハイルが座るシートを後ろからガッチリ掴んだ。ミハイルが笑いながらその手を握る。

この30年間、お互いどんな人生を歩んできたのかはまだ知らない。それぞれがそれぞれの国で、泣いたり笑ったりしながら過ごした長い長い年月。

今、3人の時間がぴたりと重なった。

 

つづく・・・

 

前回の投稿はこちら ↓

【続報その3 あの頃イタリアで】悩んだ挙句のその果てに・・・

 

【あの頃のイタリアブログ/その1から読む】

 

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