【あの頃イタリアで その61 猫と分かりあうまでの1週間③】

投稿者 :佐々木英理子 on

こんにちは。昨日の大雨は大変でしたね。ここ東京でも怖いくらいの雷雨がありました。今日もまだ降っているところがありますので、くれぐれもお気を付けくださいね。

さて、今日は猫と分かりあうまでの最終回。果たして分かりあうことはできるのでしょうか?

猫と分かりあうまでの1週間①】 【猫と分かりあうまでの1週間②】

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2匹と1人の同居生活2日目。今日は1995年1224日、聖なる夜。海外からやって来たクラスメートはみんな家族と過ごすためにそれぞれの国へ帰ってしまった。ミラノ残留組の私はなんの予定も無い。今日も淡々と良美さんに言われた通り、朝晩2回サンボとマルにご飯をあげる。晩ご飯は昨晩同様、キャットフードの他に魚の切身を蒸し焼きにしてほぐしたもの。自分のご飯もまともに作れない私にとっては大仕事である。

昨晩の屈辱感から、自分の晩ご飯用にちょっとだけ贅沢なソーセージを買って来た。二匹がご飯にありつくその傍らでソーセージを齧っていると、なんだか自分も大きな猫になってしまったような錯覚に襲われた。

2匹と1人の同居生活3日目。今日はクリスマス本番。同居人の良美さんがスウェーデンのお友達のところに行ってしまい、独りぼっちのクリスマスを送ろうとする私を不憫に思ったのか、箱入りマルコがマンナ家(マルコの苗字)のクリスマスパーティーに招待してくれた。なんだかんだ言っていいやつなのである。

マンナ家の豪邸、大きな家のリビングの真ん中には映画で見るような大きなクリスマスツリーがあり、ツリーの下にはリボンが掛けられたプレゼントが並んでいる。マルコママの美味しい手料理をご馳走になり、おまけに素敵な絵皿のプレゼントまでいただいた。

夜も更け、これ以上飲めないし食べられないビア樽人間と化した私を、マルコが愛車のホンダアコードでうちまで送り届けてくれた。感謝感謝。

今日は既にお腹いっぱいなので、心穏やかに2匹のために魚を焼いてあげる。しかし、サンボがせっかく焼いた魚を食べずに、マル用のウェットフードを横取りしようとしている。

「おまえはアレルギーだからこれ食べちゃダメなんだよ!」と目の前に魚を差し出すが、見向きもせずに私をギロリと睨む。なんて贅沢な猫なのだ。

そして・・・2匹と1人の同居生活4日目。運命の夜。

学校の帰りにスーパーマーケットで食料を調達しようと思っていたのにすっかり忘れてしまった。よって今日も冷蔵庫には何もない。う~む、ひもじい・・・。

とりあえずサンボとマルに魚でも焼いてあげようかな~・・・。だけど昨日はあんまり食べなかったよね。・・・あ!!・・そのとき耳元で悪魔が囁いた。

数分後、私の目の前には白身魚のバターソテー、バターコーン添えなるものが美味しそうに湯気を上げていた。その横ではサンボが久しぶりのウェットフードに大興奮しながらがっついている。マルも美味しそうにウェットフードを食べている。

「サンボ!美味しい?!」お皿から顔を上げ、満足げに横目でこちらをジロリと見る。

「そっかそっか!私も美味しいよ!」

そっか~!初めからこうすれば良かった!これでみ~んな幸せなのだ!

その日から良美さんが帰宅するまでの3日間、サンボとマルは大好きなウェットフードを山盛り、私は良美さんが愛猫2匹のために用意して行った魚の切身を、毎晩美味しくご馳走になったのである。

そして良美さん帰宅の日。良美さんは一週間ぶりに再会した我が子たちを胸に抱き、嬉しそうにこう言った。

「1週間ありがとう~!お陰でサンボの円形ハゲが治ってる~!」・・・え?!まさか?!

「やっぱりウェットフードのせいだったんだね~!」と良美さん。

いやいや違う!絶対違うの!と心の中で叫ぶも、真実を告げる勇気はなく・・・罪悪感をひた隠して引き攣り笑いをしてみる。そんな私を良美さんの腕の中からサンボが横目でジッと見つめる。

「内緒だよね!」私にはそう言っているように思えた。

その後またしてもウェットフード抜きになってしまったサンボには遅ればせながらごめんなさい!

あれから時は流れ・・・今では私も3匹の立派な猫ママになりました。今となってはあの頃の良美さんの気持がよ~く分かります。

いつだったか良美さんが日本に帰国したとき、お酒の席で酔いに任せてあの頃の真実を告白し、二人で涙を流しながら大笑いしましたよ(笑)

 

つづく・・・・

 

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