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【あの頃イタリアで その93 完結編・さようならミラノ】

投稿者 :佐々木英理子 on

こんにちは。未だかつてないハイピッチでブログを書いている私・・・というのも、先日出店したクリスマスマーケットでまんまと風邪を引いてしまい、現在引き籠り療養中。大掃除をするには体力及ばず、これはもう年内完結予定のブログを書くしかない!と言うわけなのです。

今日は事実上の最終回。(あと一回、あとがき的ホントの最終回がある予定)とうとう約二年間のイタリア留学が終わってしまいます。

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トスカーナの旅から帰った私は大忙しだった。なにせたった3日間で、ミラノで暮らした2年分の全てを片付け、4日目には日本からやって来る友人と約2カ月間、“西ヨーロッパ一周バックパッカーの旅”に出ることになっていたからだ。

その後ミラノのアパートメントに帰り、その2日後には日本に帰国するという超過密スケジュールなのである。

ダンボール箱の山

「ま~ったく!慌ただしいわね~!」

同居人の良美さんが呆れ返っている。はい、ごもっともです・・・

最後の最後に、なぜにこんな強行スケジュールになってしまったのか?全ての要因は、私の生理に合わせて卒業旅行の日程が急遽後ろ倒しになってしまったことにある。(その78参照)しかし、こればっかりは悔やんでも仕方がない。

ヨーロッパ旅行まで全く余裕はないけれど、とにかく昨日までの旅行で撮り溜めたフイルムを3人分現像してもらい、マルコとオスカルに手渡さなければならない。

数枚の写真の画像

旅に出る前日、最後の別れにやって来てくれたマルコとオスカルと、近所のBARのテーブルで向かい合ってエスプレッソを飲みながら他愛無い話をした。

何を話したかはあまりよく覚えていないが、恐らく“エマと仲直りしたの?”とか、“旅行楽しかったな!”とか、“就職どうする?”といった話しだ。

別れの言葉を誰も言い出せなかったのだ。

のらりくらりと席を立ち、店の外に出たところで、とうとうマルコが私に言った。

「元気でな!また絶対会おうな!」オスカルも横で頷いている。

笑顔で二人とハグをした。トスカーナで思いっ切り泣き納め(?)をした私はもう泣かなかった。そしてこれがマルコとオスカルとの最後の別れになった。

少女が風船に手を伸べる絵

 

それからは楽しかった自転車旅行を振り返る余裕もなく、物凄い勢いでバカでかいリュックに旅の荷物を詰め込み、その勢いのまま担いでまたまた旅に出た。

アルバイトで貯めたギリギリの予算を握りしめながら、友人と巡ったスイス⇒ドイツ⇒オランダ⇒ベルギー⇒イギリス⇒フランス⇒スペイン。一旦ミラノに戻って私の母と合流し、無理やりリュックを担がせ、最後の2週間は3人でイタリアを周った。

この珍道中については、いつかまたどこかで書くことがあるかも知れない。

ミラノの建物とトラムの画像

2カ月間の旅が終わり、ミラノでの最後の朝。

とうとう慣れ親しんだアパートメントと、お世話になった同居人の良美さんにお別れをする時が来てしまった。

と、思いきや・・・

「今日に限ってどうしても朝早く仕事に行かなければならないのよ!」

良美さんはそう言い残すと、お別れの挨拶もそこそこに私より先に慌ただしくアパートメントを出て行ってしまった。

良美さんが最後に私に残した言葉は・・・

「鍵!ちゃんと閉めてってね~!」だ(笑)

だけど私は知っている。史上最強の強がりの良美さんのことだ。しんみりお別れなんてしたくなかったに違いない。そもそもそんな早朝の仕事なんて聞いたことないし(笑)

いよいよ部屋を出る時、いつも通り床に転がってくつろいでいるサンボとマル(その59参照)の頭を撫でてやった。不思議顔でジッと私を見上げている。

ガランとした部屋を見渡すと、壁の隅のペンキの塗り残しが目に入った。ここに引っ越すときに、二人でせっせとペンキを塗ったことを思い出す(その35参照)・・・

「あ~!ここ塗ってない!ちゃんと後で塗ってね!」

「分かった分かった、後でちゃんと塗るから!」

・・・その約束はついに果たせなかった。

メモ用紙の画像

大きなスーツケースを部屋の外に出した後、私はかつて良美さんと一緒にコンサートに行った ”パコ・デ・ルシア” のCDに短いメッセージを貼付け、いつも一緒に笑いながら、時には泣きながらワインを飲んだダイニングテーブルの上に置いた。

 

“ 良美さんへ 

長い間お世話になりました!ありがとう! 

エリコより愛を込めて ”

 

その夜、このメッセージを見て良美さんが涙したかどうかは定かではない。だって未だにこのことについて一切触れてくれないのだから(笑)

 

玄関のドアを閉め、しっかりと鍵をしてその鍵をポストに入れた。

こうして2年と2カ月の私のイタリア留学生活は幕を下ろしたのである。

 

おしまい。

 

 

 

次回、ホントの最終回は ”あとがき&登場人物のその後” です!

 

※掲載している写真はイメージです。
※この思い出話の舞台は1994年-1996年のイタリアです。スマホはおろか携帯電話やデジカメ、パソコンすら一般家庭に無い時代であり、主な通信手段は国際電話かFAXでした。

 

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